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最高裁判所第二小法廷 昭和28年(あ)1220号 決定 1954年7月14日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人菊地養之輔上告趣意書第一点について。

所論被告人に対する昭和二七年三月二七日附起訴状記載の事件は当初仙台簡易裁判所に繋属審理中のところ、同裁判所は刑訴三三二条により右事件を仙台地方裁判所に移送し、同地方裁判所はこれを受理して既に繋属中の所論昭和二七年六月二五日附起訴状記載の事件外一件と併合審理する決定をしたうえ、右移送を受けた事件については、裁判官の更迭による公判手続の更新をしたことが記録により明らかであるから、右更新により移送前の公判においてなされた公判手続もまた同一の手続が行われたものと認むべきである、されば更新前の公判調書並びに証拠書類、証拠物等を所論のように更新をした際の公判調書に証拠の標目、その取調の順序として再び記載する必要はないのである、所論は、本件と事実を異にする判例を引用し、独自の見解に立って判例違反を主張するものであってその前提を欠くものである。

同第二点は量刑不当の主張であって刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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